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Conservation for
Cultural Property

祈りのかたち、暮らしのかけら、人々のこころ
ぜんぶ未来に持っていく

コースでは、文化財保存修復の主だった4つの分野を学ぶことができます。4つの分野とは、東洋絵画修復(掛軸、屏風、書など)、西洋絵画修復(油彩画、版画など)、立体作品修復(仏像、近現代彫刻など)、保存科学(科学分析、環境調査など)。多様な分野の修復作業と科学調査を経験しながら、文化財を守り伝えるための技術と知識を習得し、文化財の価値を人々に伝えられる専門家を育成します。全国初となる大学附属の修復研究所、文化財保存修復研究センターとも連携し、プロの修復家が実際に修復を行う現場、地域文化財に囲まれた環境で実践的に学ぶことができます。保存修復を通して、社会や地域で必要となる考える力と伝える力を養います。

前身の「文化財保存修復学科」紹介動画

Feature

学科の特色

学部から修復スキルを体得

本学では研究から実際の修復処置までを専門的に学ぶことができます。さらに、東洋絵画?西洋絵画?立体作品(仏像や近代彫刻など)の修復、保存科学といった分野も学部から設置。芸術作品の修復にも携わることができます。

全国初の大学付属文化財保存修復研究センター

町に点在する蔵や雛人形なども、実は暮らしと歴史のあるところに必ず存在する「文化遺産」。本センターは東北各地域の文化財を守る中核を担っており、実際に寄せられる修復依頼に演習を通して携われます。

文化財保存修復研究センター

指導力の高さから身に付く知識と技術

実際の作品と修復を卒業研究にする学生も多く、そのための知識と技術を、教員たちが高い指導力で支えています。さらに修復のプロセスを通し、解決策を提案し実施する力と客観的な視点が養われています。

Curriculum

授業紹介

東洋絵画修復?西洋絵画修復?立体作品修復?保存科学の分野 を学部から設置。研究から実際の修復処置までを専門的に学ぶことができます。全国初の大学付属文化財保存修復研究センターとも連携し、教員たちの高い指導力のもと、作品の修復に携わることもできます。

カリキュラム(前身の「文化財保存修復学科」)

1年次

文化財の保存修復に必要な作品の構造と技法を読み解く基礎的な力を習得します。さらに、地域や美術館?博物館での文化財の保存、管理、展示方法を見聞し、管理者の業務を学びます。

文化財調査演習1/東北地方の美術館?博物館?社寺を訪れて見学し、文化財がどのように展示、管理、保存されているのかなどの文化財調査の基礎を、実際の現場から学びます。。

  〈 講義 〉 〈演習 〉 〈 フィールドワーク 〉
前期
  • 文化財保存修復入門/文化財保存修復の全体像
  • 日本美術史/日本美術の歴史や代表的な作品
  • 日本史概論
  • 考古学概論
  • 絵画?立体基礎演習1/デッサン?塑造
  • 文化財調査演習1/東北地方の社寺や美術館博物館の見学?調査の基礎
後期
  • 絵画修復論/東洋?西洋の絵画修復理論?技法
  • 立体作品修復論/仏像等の立体作品の歴史?技法?修復方法
  • 文化財基礎化学/保存修復に必要な基礎化学
  • 西洋美術史
  • 民俗?人類学概論
  • 絵画?立体基礎演習2/絵画材料?絵画古典技法

 

2年次

演習を通して、文化財に用いられるさまざまな素材の性質や造形技法、道具の取り扱いを学びます。また、文化財に関する科学知識や実験器具等の使用方法を学び、文化財調査の現場に必要となる基礎的な能力を修得します。

西洋絵画修復演習/絵画作品の調査を通じて基本的な材料や構造について理解を深め、損傷状態の把握や修復方法の検討を行います。また、修復作業に用いる材料や道具についての知識を養い、修復に必要となる基礎的な技術を学びます。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 フィールドワーク 〉
前期
  • 保存科学概論/文化財劣化要因の科学的理解
  • 文化財保護論/文化財保護の法律?行政
  • 日本近代美術史
  • 立体修復?技法演習/立体作品修復の基礎技術
  • 保存科学演習
  • 文化財調査演習2/東京の美術館博物館の見学?調査
後期
  • 文化財材質論
  • 文化遺産マネジメント
  • 歴史考古学特論
  • 中世歴史学特論
  • 近世歴史学特論
  • 東洋絵画修復演習/東洋絵画修復の基礎技術
  • 西洋絵画修復演習/西洋絵画修復の基礎技術
  • 文献講読

 

3年次

東洋絵画修復、西洋絵画修復、立体作品修復、保存科学のゼミに分かれて、分野ごとに専門スキルの習得に取り組みます。実際の文化財も取り扱いながら、実践的な保存修復の技術や調査分析方法を学びます。

保存修復応用演習(保存科学)/資料の科学分析、保存環境調査、出土遺物の保存処理などを通して、文化財保存科学に必要な知識と技術を養いながら、専門性を高めていきます。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 フィールドワーク 〉
前期

後期
  • 近現代美術概論
  • 保存修復応用演習1?2/専門分野に分かれて、保存修復の専門的な技術?知識?理論を学ぶ
  • キャリアマネジメント
  • 専門調査演習/専門分野に分かれて、修復工房や美術館博物館の見学?調査

4年次

教員の指導の下、自らテーマを決めて卒業研究に取り組みます。保存修復作業や研究を行い、その成果を論文にまとめます。研究を通した学びは、専門職に限らず一般企業など幅広い分野での活躍を可能にします。

卒業研究/各自の研究計画に基づき、学生が主体となって卒業研究の調査?実験?修復作業などを進めていきます。授業で進捗状況の発表と討議を行い、各研究に対する課題に向き合い解決方法を話し合います。

? 〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 フィールドワーク 〉
前期

後期
  • 文化財保存修復研究1?2/専門分野に分かれて、卒業研究に取り組む

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活動 Pick Up!


善寳寺五百羅漢修復プロジェクト

文化財保存修復研究センターでは、山形県鶴岡市善寳寺の五百羅漢堂内に安置されている531体の仏像群の修復を行っています。2015年より開始され、約20年の歳月をかけて行う本プロジェクトには、学生たちも関わり修復?研究を進めています。

文教の杜ながい 石膏像修復

山形県長井市文教の杜ながいが所蔵している石膏像(長沼孝三《東亜進軍》1942年)の修復作業に参加しています。近代彫刻作品の構造や材質を踏まえて修復作業を行うなど、実際の作品から実践的に学びます。


東洋絵画修復ゼミ裏打ち授業

東洋絵画修復ゼミ3年生の授業では、日本の絵画や書を修理するために必要な知識と技術を学びます。作品の裏面に糊をつけた和紙を貼り付けることで補強を行う、東洋絵画修復には欠かせない技術である「裏打ち」を実際の作品に施します。

山形市郷土資料収蔵所環境調査

地域の文化財を継承していくために、予防的保存に関する調査研究に取り組んでいます。フィールドワークを通して文化財の保存環境を正確に把握し、実現可能な温湿度管理や防虫対策等の計画の提案を行います。


Career

進路

取得可能な資格

小学校教諭一種免許状、中学教諭一種免許状(社会)、高校教諭一種免許(地理歴史)、学芸員

※指定の科目を受講することで取得できます。


主な進路実績

修復工房 小西美術工藝社/三乗堂/修護/島津漆彩色工房/はせがわ美術工芸
博物館?美術館 東北歴史博物館/徳島県立近代美術館/藤城清治美術館/山形県立博物館
研究所 東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター
公務員 大槌町/白石市/備前市
文化財関係企業 イカリ消毒/金剛/玉川文化財研究所
その他企業 イオン東北株式会社/歌舞伎座舞台/尚徳福祉会//直島文化村/中川装身具工業/日本通運/藤浪小道具株式会社/ぺんてる/保志/山形信用金庫
進学 東北芸術工科大学大学院/ノーザンブリア大学大学院(英) ほか

※旧文化財保存修復学科の2020~2024年度実績(修士課程修了生を含む)から抜粋

Professor

教員紹介

杉山恵助

Sugiyama Keisuke
教授/東洋絵画修復

人々の思いが詰まったさまざまな文化財は宗教的な価値や歴史的な価値があるだけでなく、私たちに精神的な豊かさも与えてくれます。そうした文化財を護っていくのは素敵な仕事だと思いませんか。
もちろん、文化財を護るためには相応の知識や技術が必要です。そのためコースのカリキュラムでは、文化財保存に関わるサイエンスなどの座学に加え、デッサンや木彫、彩色などの演習にも取り組み、学年が上がるごとに実践的な学びを導入していきます。そうして本学科で得られる力は問題認識と解決、チームワーク、責任感、伝える技術など、社会で必要なほとんどのスキルです。「文化財を保存?修復する」直接的なイメージの強いコース名ですが、文化財の保存修復を通して人間的な成長を目指しているわけです。

本コースの教育には、大学付属の文化財保存修復研究センターが連携しています。そこでは専門の研究者やプロの修復家によって、美術館や博物館、寺社仏閣等から依頼されたさまざまな文化財を対象に調査?修復の業務が日々進められています。学生はこうした実践の現場にて学ぶことができます。私が担当している東洋絵画修復の分野では、掛軸や屏風といった書画作品の調査や修理を通して、その作者や過去に修理した技術者と時をこえて語り合えることが、何よりの魅力だと思っています。

大切な文化財に触れながら、この文化財保存修復コースで学んでみませんか?化学、美術史、歴史学と言った知識に加え、制作技術に修復技術、最初から全てできる人などいません。まず必要なのは皆さんの気持ちと未来に向けたエネルギーです。本学科の学びを通して、皆さんが一歩一歩成長できるように、教員一同でしっかりとサポートしていきます。

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